「河渡の家リノベーション」完成見学会のお知らせ

昨年末より工事を行い、まもなく完成を迎える「河渡の家リノベーション」。
この度お施主様のご厚意により、完成見学会を開催させて頂くこととなりました。

河渡の家の概要

河渡の家は築約50年の平屋建ての住宅。
計画の当初は「リノベーション可能か、建て替えが必要か。」とのご相談からでした。
ご相談を受け、まずは耐震診断などの調査を開始。
調査の結果、評点は0.13～0.32となり「倒壊する可能性が高い」との判定となりました。
（評点1.0以上で「一応倒壊しない」となる。）

数字上の評点を見ると随分と低く「改修で大丈夫？」と考えてしまいそうですが、現地で既存住宅を調査した印象は「構造計画がしっかりしており、補強がしやすそう。」というものでした。
実際、補強金物を必要な箇所に取付け、耐力壁をバランス良く配置することが出来れば評点は比較的容易に上げることが出来ます。（もちろん、計画通りに施工できることが最重要とはなります。）
また、屋根や外壁などの外装部分のメンテナンスも定期的に行われていて、構造に影響するような致命的な劣化は確認されませんでした。コンクリートの基礎部分においても大きなひび割れは無く、比較的地盤も良好と判断できます。
建物のプロポーションもよく、改修後は素敵な家に生まれ変わることがイメージできました。
調査の結果に加え、お施主様の「この家を治して住みたい。」という思いもあり「河渡の家リノベーション」の計画はスタートしました。

「河渡の家リノベーション」の見どころ

・付加断熱とトリプルガラスによる超高断熱住宅
河渡の家はリノベーションでありながら、UA値0.26でHEAT20 G2基準をクリアしています。
電気料金やガソリン代、生活に関連するものの価格が上昇する昨今、少ないエネルギーで家全体を快適に暖冷房出来ることは住まいをつくるうえで必須条件です。
また、災害時には一時的に停電が起きることも想定されます。
数時間程度暖房が停止しても室温が下がりにくい断熱性能も、これからの住まいには求められると考えています。

・4.08kwの太陽光発電を搭載
高断熱+太陽光の組み合わせは、エネルギー価格による家計への影響を小さくすることが出来ます。前述した災害時への備えとしても有効です。

・耐震診断を行い、構造の安全性を確認
工事の計画段階に耐震診断を行い、構造計画を検討。
やみくもに補強をするのではなく、必要な箇所に必要な補強を施しています。
そうすることで、コストを最小限に抑えたうえで目標とする性能に達することが出来ます。

・50年前の家を現在の生活に合わせた暮らしやすい間取りに
改修前の家は「和室二間続き+縁側」といったような伝統的な間取り。
祭事などを自宅で行っていたころは、必須だったこのような間取りも現代の暮らしにおいては使いにくくなっています。
基本設計には高橋良彰建築研究所の高橋さんにも加わっていただき、間取りを再検討。
以下の点を留意しプランニングをして頂きました。
・構造を考慮したうえで使用していなかった縁側など一部を減築
・キッチンやサニタリー、浴室などを動線よくまとめ、家事負担を軽減
・既存の建具や床の間などを活かし、改修前の家の面影を残す
また、少し複雑になっていた屋根の掛け方を一部整理することで、雨仕舞、プロポーションともに改善しました。

・大工による造作キッチン、洗面、棚など
宮崎建築の家では定番となっている暮らしに合わせた造作家具。
お施主様が使いやすいように、ミリ単位での微調整も行っています。
河渡の家でも製作させて頂きました。

・床は国産杉の無垢フローリング
木目、色味、香り、足あたりなどは断熱性や耐震性などと違い、数値では表しにくい部分です。杉は足あたりもよくクッション無しで直接床に座ったり、寝転がったりしても気持ちの良い床材。
素材の持つ質感や雰囲気をお確かめ下さい。

・お施主様セルフ施工による漆喰壁
なんと、塗り壁部分はお施主様が100％セルフ施工！
コテ跡の残る味わい深い質感は、手仕事のぬくもりを感じます。
漆喰壁独特の空気感もご体感頂けます。

・見学会当日は長岡市の家具工房、nineさんの家具を展示
見学会時にはnineさんのご協力を頂き、家具の展示も行います。
シンプルで洗練されたデザインの無垢材の家具を製作されているnineさん。
今回、お施主様がオーダーされた円卓の他にも、椅子や収納などを展示頂きます。
nineさんの家具にご興味があるという方もぜひお越し下さい。
（余談ですが、お施主様はnineの九里さんも登壇された昨年6月の講演会にお越し下さりました。そこで九里さんの思いに共感。今回のご縁となりました。）