建物を改築する際もっとも重要視しなければならないのは耐震性です。
いくら内装や外壁がきれいになっても肝心の構造が傷んでいたり耐震性が不足していれば安心して暮らすことはできません。
リノベーションなどの大規模な改築や、外壁の張り替えなどは構造を点検し補強ができるチャンスです。
床、壁、天井を撤去した間に「ついでに」構造の補強ができるからです。
耐震補強工事を単独で行う場合、実際の補強工事よりも、その部分の壁の撤去や復旧費用の方が多くかかることも多いのです。(そのため内装の費用が掛かりにくい収納などを中心に補強計画を立てます。)
白根の家
基礎工事を終え上部構造の補強へと進みます。
補強は筋かいが中心となります。
新たに設置する筋かいは、1階 76本 2階19本 合計95本。
既存の筋かいは3本だけでしたので当然ですが大幅増!となります。
(既存の筋かいは断面が小さいので交換となりました。)
斜めに木材が入っているのが「筋かい」。地震力、風圧力に抵抗します。
Xになっている所(ダブル)と/になっている所(シングル)があります。
1階部分は2階の加重を負担しているため地震時にかかる力も大きくなります。
そのためほとんどがダブルです。
取付けられた筋かい、柱部分には補強金物が取付けられます。
水平面は火打ち金物で補強。
梁端部は羽子板ボルト。
柱の根元はホールダウン金物。
設計に基づいて耐力壁、金物を取付けました。
これで一安心。
このくらいの年代の建物は金物がほとんど使われていません。
使われていてもごくわずか。
白根の家でも2階の小屋組みには1部使われていました。
当時は金物の種類も少なく、高価であったことも使われていない要因ではないかと思います。