私はリフォームやリノベーションを計画する際、もっとも大切なことは現況を正確に把握することと考えています。

現況の正確な把握をせず工事をスタートしてしまうと、
・想定外の工事の発生
・計画していた通りの補強が出来ない
…といった事態も発生し兼ねません。

よくリフォームでは「あけてみないとわからない。」と言われます。
これは工事を開始して床や壁、天井などを解体すると、思ってもみない造りになっていたり想定外の不具合などが見つかったりすることを指すものです。

また古い住宅になると、図面はあるが現状と間取りが違っていたり、図面では筋かいが記載されていても実際には入っていないということも往々にしてあります。
しかし、補強計画や見積りを作成するにあたり「工事をしながら考えましょう。」というわけにはいきません。
図面が残されている場合もそれを鵜呑みにするのではなく、自ら調査を行いしっかりと確認していく事が大切です。

破壊検査を行わない限り、すべての床下・天井裏・壁の中を確認することは実質不可能です。
この場合は建築された年代・地域・使用されている素材などから推測し計画を立てることになります。

鐙西の家では改修計画を立てる際、まずは耐震診断を行いました。
耐震診断では
・屋根や外壁など外装の劣化具合
・基礎の仕様、ひび割れなどの確認
・耐震の要素となる壁の種類、構造金物の仕様具合などの確認
・建物のバランス
などをチェックし、数値により現状の耐震性を表します。
調査の際は床下や天井裏にも入るので建物の全容をおおよそ把握することが出来ます。

耐震診断
上記は鐙西の家の計算書の一部。
現状の耐震性は最小値で0.07。
評点1.00で「一応倒壊しない」ということになりますのでかなり低い数値と言えます。

ただ、47年前の基準で建てられた住宅を現在の基準に照らし合わせ診断をするので評点が低いのは当然です。

また、不確実な耐震の要素は全て除外して計算をするのでかなり安全側の数値とも言えます。(精密な診断を行う場合は評点が上がる場合が多い。)

私は行政の委託を受け(新潟市、阿賀野市、新発田市など)昭和56年以前の住宅の耐震診断を30件以上行ってきましたが、0.1~0.4程度の評点になることがほとんどで、1.0以上になった物件はこれまでに一件もありません。

耐震診断は人間でいう健康診断と同じです。
現在の状態を把握することで正確な補強計画を建てることが出来るのです。

過去に耐震診断について書きました。
ご興味がおありの方はコチラもご覧ください。^^
耐震診断ってどんなことするの?

この記事を書いた人

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宮崎 直也

宮崎建築4代目で、設計・施工・管理を担当しています。
新潟県ならではの「冬寒く、夏暑い」という悩みに、建て替えなくても新築と同等以上の断熱性能が確保できる断熱リフォームを手がけています。一般的なリフォームとは違い、少ない光熱費で全体の空調を実現しました。
2級建築士、1級技能士、職業訓練指導員、平成9年技能五輪新潟県予選1位、平成10年技能五輪全国大会出場。嫁さん大好き。