床下エアコンとは?
「床下エアコン」とは一般的な壁掛け式のエアコンを床付近に設置し、床下に暖気を送り込むことで家全体を暖める暖房方式です。
正確な言い方をすれば「床下放熱式エアコン暖房」となります。
私が所属する新住協のベテラン会員さんらが数年前から率先して採用しており、全国的に事例も増え一般的になってきました。
宮崎建築の自社物件では2015年秋に竣工した「畑江の家」が初導入です。
(それまでも設計事務所さん案件などで施工経験はありました。)
「畑江の家」は35坪の平屋を、中央に据えた12畳用のエアコン1台で暖房します。
冬が来て実際に暖房をつけてみると実に上手くいきました。
室温は約22℃、床表面温度は23~24℃くらいに保たれて「足元が暖かく、ホントにちょうどいい。」と奥様に感心して頂きました。
暖気が床下に送風されるので、エアコンの稼働音も気にならず、風が直接身体に当たる不快感もありません。
それは、パネルヒーターなどの輻射熱暖房と全く同じ感覚です
設備費とランニングコスト
エアコンは寒冷地用を採用しています。
(価格は20万円くらい。)
エアコンはメーカーや機種、容量など多くの種類があります。
宮崎建築ではQpexなどの熱計算ソフトを活用し、その住宅にあった最適な容量の機種を選択しています。
(必要設備容量の算定式があるので、それを採用しています。)
あとは、故障がしにくい機種というのも重要です。
この暖房方法を採用するとき、基礎と土間の断熱を通常より強化しますから、その分の費用がプラスされます。
暖房設備全体として計算すれば40万円くらいになります。
一方、エアコン方式が一般的になる以前に採用されていた「温水パネルヒーターによる床下放熱式暖房」は80~100万円前後(35坪規模)と言われていますので、イニシャルコストはその約半分です。
また、省エネ性能の高いエアコンを使うため、ランニングコストも安く済みます。
(エアコンのCOPは2.0~2.5に設定し、計算しています。)
メンテナンスは?
一般の方にはあまり馴染みのない暖房方式のため、メンテナンスについて質問も頂きます。
メンテナンスには①エアコン本体のメンテナンスと②床下空間のメンテナンスの2点があります。
①エアコン本体
エアコン本体は足元付近に設置されるため、フィルターのお手入れ等は容易です。
脚立等を使用しなくてもよいため、普段の掃除機かけのついでに掃除することも可能です。
②床下空間
この暖房方式の場合、床下空間を暖気が経由するため、その部分のお掃除についても聞かれます。
床下空間の空気の入り口はエアコン吹き出し口部分、出口は各部屋に設置されたガラリ部分となります。
それ以外は閉じられた空間となるため埃などが落ちるのは基本的にこの2か所からとなります。
エアコン吹き出し口付近は、エアコンのフィルターを通した暖気が送り込まれているためほとんど汚れません。
ガラリ部分はネットを張っているため埃等は落ちにくいですが、長期的に綿埃などがたまる場合があります。
こちらはエアコン本体同様、普段のお掃除のついでにガラリ付近を掃除機で吸っていただければ問題ありません。
もちろん、気になる場合は定期的に床下全体をお掃除することも可能です。
床下空間は40~50センチ程度の高さのため歩いて移動することは出来ませんが、作業用の台車等を利用し移動することができます。
ほふく前進でも移動できますが、なかなか大変です。
(床下のお掃除は宮崎建築でも有償にて承っております。)
床下空間を収納等で利用するために高基礎にした場合は移動が容易なため、よりお手入れがしやすいと言えます。
(基礎工事のコスト増、暖房空間の増加などは考慮する必要があります。)
これまでお引き渡しをした住宅に定期点検などでお伺いした際、床下を確認させて頂いていますが思った以上に埃がたまらないことが分かってきました。
このことは、床下エアコンに取り組んでいる各地の工務店の方とお話した際も同じことを言われます。
これは、かつての住宅とはつくり方が違い(基礎断熱工法)、床下が外部空間と繋がっていないことが大きいと考えています。
床下放熱式エアコン暖房は、暖房感・設備コスト・メンテナンス性など様々な観点から現在最も採用したい暖房方法だと考え、お勧めしています。